生理用品問題に関するメモ(争点整理)

いわしの人生ログ

先日ツイッターにこんな画像を投稿したところ、思いのほかおバズをいただきまして。

今日はこれを書くに至った経緯と、SNSについて考えたことを備忘で書きます。

電車でサササとメモしただけの汚い紙が多くの方に見ていただいて恐縮です。もっとちゃんと書けばよかった、と思うものの、ちゃんと書いたからといってバズるわけではない。バズりたいわけでもない。

「生理用品問題」とは

そもそもこれを書こうと思ったのは、Twitterで「学校に生理用品を」という趣旨の議論を見かけたことがきっかけです。

どうやらこの日、テレビで「生理用品と貧困問題」というのが取り上げられていたらしく、そこから議論が発展した模様でした。

「生理の貧困」を調査 学生の約2割“生理用品 買うのに苦労(NHKニュースサイトにとびます)

で、このニュースに起因して、Twitter140文字の中で、あちこちでバトルが勃発していました。

わりと批判的な口調でそれぞれの主張が繰り広げられているSNSの巣窟に紛れ込んでしまって、待て待て待て、これ、論点のスクランブル交差点やないか、と思った。

「生理用品問題」と私

知らんがなだと思うのですがまず私の自己紹介。

【ステータス】
シングルマザー、アラフォー、小学生の娘が一人。
不妊治療経験者。それゆえ「女性の(物理的な)身体問題」について比較的過敏。
女性差別、権利拡大みたいなことについてはあまりアンテナが高くありません。

【性教育について】
私自身は平成初期のごく最低限の性教育しか受けていません。正直、娘に対してもどういう教育をすべきなのか手探り。たまに本などを読んでいます。
親からもこれといった話を聞いた記憶はありませんが、生理用品については一通りそろえてもらいました。

【経済面】
会社員。平均的な年収。
※たまに「シングルマザーなんでしょ?助成金いっぱいもらえてずるい」と言われますが、一定の所得を超えると助成金の対象外になります。私も助成金はもらっていません。
(これについては私自身は異論も不満もありません、ただ制度についてはもっと理解が深まるといいなとは思っています。支援が必要なところに支援が届くのは当然のことで、「ずるい」ではない)

【生理について】
薬なしでは生活ができないレベル。もちろん病院にも行っている。

【生理に関する支出】
現在低用量ピル(月額約3000円)服用。ロキソニンは月6錠前後飲んでる。
毎月の生理にかかる経費はそれを含めると、大体4000円程度。

こんな感じで、「生理と経済」「生理と体調」「生理と家庭環境」「公的扶助に対するスタンス」も、それぞれあるわけです。たぶん、「ママ」というくくりで10人集めても、10パターンあると思う。

ピルについてはここにまとめて書きました

争点整理は公私ともに重要

みなさんは「訴訟」にどんなイメージをお持ちでしょうか?

「異議あり!」ババーン!!!!

みたいな派手なやつには少なくとも民事事件ではほとんどお目にかかりません。

事件が起こって、訴えがおきたあと、そのほとんどが小さい会議室みたいなところで、「争点整理手続」というのを膝つきあわせてやります。

この事件の何が問題なのか、というのを、抽出して、それぞれ分けて考えます。そして総合的な判断をする。

さて、「子どもが生理用品に困っている」というこの事件について、いくつか「争点」があるはずなのですが、そこが明瞭でないまま、いくつかの言葉が発信され、そしてそれに批判的なコメントが相次いでいました。

発信者のほとんどが「子どもが困らないためにどうしたらいいか」という気持ちであったにもかかわらず。

これは140文字という短文のツイッターの、宿命みたいなものなのかもしれません。

「生理用品問題」争点整理

学校に生理用品を置いたらどうか、というひとつのネットニュースに対して、以下のようなリプライがついていました。( )内は私が勝手につけた「それぞれの正当性」です。

「子どもの生理用品なんて家庭の責任でしょう?なぜ学校が対応しないといけないんだ」(教育現場への負担を懸念する声&子育てはかくあるべき、というそもそも論)

「生理用品を持たせてもらえないおうちがある」(子供への心配)

「数百円くらい買ってやれよ」(買ってあげない家庭への義憤→もちろん子供への心配)

「数百円じゃ足りない!私は4千円かかる!」(貧困家庭への心配)

「そんなに重いなら病院行かせたらいいじゃん」(子供の病気を心配する声)

「生理用品も買えないなら生活保護うければいいじゃん」(貧困問題へのそもそも論)

「生活保護を不正受給している家がある」(もうこの辺は福祉総論)

こんなかんじで、もともと困ってる子供の救済ではなく、全然別の話になってしまっている。そもそも、「機能不全家庭」においては数百円だろうが数千円だろうが出してくれないし、「貧困家庭」においては数百円の出費も苦しいかもしれない。

「数百円くらい買えるだろ」は、まさに「買えるおうちが買わない」ことに対する正論です。
一方、「買えないおうちがある」というのもまたひとつの事実です。

ここから「買える」「買えない」の言葉の定義があいまいになってきて、「スタバはいけるのに生理用品は買わないのか」みたいなディスり合いに発展する。

「みんなそれぞれ子供を心配して」「それぞれが正しさを主張している」なのに、かみ合わない。

いま、トイレでうずくまっているのは、財布を持たない10代の(もしかしたら8歳や9歳の)子供なのに。

そこで、冒頭の図を書いた。もう一度掲載。

左下の、「ちなみに欄」は、今回争点とすべきでなかったものの、ノイズになっている部分なので「不知」ということで書きましたが、ちょっとインパクトが強かったようです

子どもに生理用品を持たせない家庭は一定数いる、という理解

この画像に対し、大きく分けて2つの反響がありました。

①私も「左上の家庭」で育った。生理用品を買ってもらえなくてつらかった
②「左上の家庭」なんてこの世に存在するの?

これ、この2つ。そうなんですよ、これなんですよ。この両極端。
私が思った以上に、特に①の声が、リプ欄や引用RTに多く、本当に胸が痛みました。

スタバ行っても、switch持ってても、大きな二階建てのおうちに住んでいても、「生理用品を持たせない親」がいるんです。

その人たちにいくら「生理用品は〇円かかる」とか「生活保護をうけたらいい」とか「保健室でもらって、あとで返せばいい」とかいっても、解決しない。

たった数百円の生理用品を買ってもらえない(だからあとから保健室にも返せない)、貧困でないおうちが、わたしたちが知らないだけで、この社会に、ある。

批判的な、否定的な言葉じゃなく、まず全体像を把握したい

学校に生理用品を置いてほしい、というのは二次的な話で、議論がまとまらないまま、前提を共有しないまま、いたずらに批判し合うのは、もったいないと思いました。

SNSにこそ、「争点を整理する」という手続きが必要なのでは?と、このたびすごく考えさせられた次第です。

「生理用品を配るとなると現場が大変だからどうするか」「生理用品は案外虫がわくから保管方法を考えよう」など、今度はめちゃくちゃ具体的な課題も浮き彫りになり、これはまた別途、解決の道筋を考えたいです。

私が考えたところでどうにかなる問題ではないにせよ、社会というのは小さな声の集合体だと思うので…

トイレットペーパーが当たり前に使えるように、生理用品も当たり前に子供の手に届くといいなと思います。そしてもちろん、この話の根幹には、子供の人権問題がある。これについては、よりよくなるように、できることを探したいなと思う次第です。

おしまい

【健康については、ほかにもこんなことを書いています】

普段は楽天セールのこととか、Amazonタイムセールのこととか、家事をいかに手をぬくかとか、そういうことばかり考えています。すみません。

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