企業法務歴20年、法務人材の採用にも関わっている企業法務ママ(@watanababy2010)がお答えします!
「企業法務」って響き、なんだかとってもかっこいいですよね。
新卒の就活サイトを見ても、法務部員を募集している会社はそれほど多くありません。
コロナ禍で就活自体厳しい時代です。それでもあきらめないで!
法務人材はまだまだニーズがあり、企業側は優秀な学生を探しています。
新卒での法務部就職は狭き門だが、チャンスはある
そもそも、「法務部」がある企業自体、あまり多くはありません。上場している企業ですら、「法務部」という部署がないことも。
「法務部」があって、そこに何十人もメンバーがそろっているような会社は、最近の新卒はほとんどロースクール卒の、法曹資格所有者です。
もしあなたがそれに該当しないのであれば、狙いを別のところにさだめましょう。
法務部のない会社は、たとえば「総務部」や「業務管理部」といった、別の名前の部署が、企業法務の仕事をしています。
企業法務人材はまだまだニーズあり
狭き門と言われている法務部門ですが、コンプライアンス意識の高まりや、このコロナ禍による世の中の大きな変化によって、人材ニーズはむしろ高まっています。
「企業法務」の募集がなくとも、あなたがどんな仕事がしたいか、どんな仕事にならあなたの強みが活かせるのか、を明確にしておけば、企業側が「法務担当」要員として採用してくれるチャンスは十分にあります。
そのためには、「企業法務」という仕事をしっかり理解し、企業の「ニーズ」にこたえられるアプローチをする必要があります。
「企業法務」はこんな仕事をする部署です
企業法務と聞いて、どんな仕事をイメージするでしょうか?
バリバリ訴訟?
コツコツ契約書作成?
日本では、企業対企業のバチバチの訴訟はそれほど多くはありません。
どちらかというと、契約書を作成したり、新規事業に関する周辺法令を調査したり、社内の法律相談にのったり、会議の準備をしたり、弁護士と営業部門の架け橋になったり…と、地味な仕事がほとんど。
しかも、その会社の商品やサービスを十分に理解していないと正確な回答ができません。
法律だけでなく、自社が所属する業界の勉強も欠かせません。
法務部員の、1日のスケジュール
とある企業の法務部で働く私の、マジでリアルなスケジュールです。
8:30
出社、メールチェック。法律相談、法改正ニュース、業界ニュースなどに目を通します。
9:00~10:00
契約書チェック。商品の売買契約です。どんな商品かをまずチェックして、リスクを洗い出し、リスクヘッジできる条文を検討して追加します。
10:00~11:00
営業部からの相談。新サービスを開始したいけど、法律的に問題ないか?というざっくりした話。薬機法(旧・薬事法)の関係でこれは難しそうですね、とうんうん唸る。
11:00~12:00
別の部署からの相談。取引先が倒産しそうとのこと。債権回収案に法的な問題がないか確認します。ドラマ・半沢直樹でも、「法務チェックにまわしてくれ」というセリフがありましたが、まさにそんな感じです。
12:00~13:00
昼休みの間に、各省庁のHPをまわります。新しい行政指導がでていないか、通達がでていないか、自社に関する情報がないか…情報収集が欠かせません。
13:00~14:00
英語の契約書チェック。英語がめちゃくちゃ苦手なので時間がかかります。また、取引相手の国の法令も調べる必要があります。
14:00~15:00
新商品のチラシのチェック。景品表示法違反の恐れがありそうな文言に赤をいれたところ、営業部門とひと悶着。法律違反にならず、消費者に遡及するキャッチコピーづくり、とても頭が痛いです。
15:00~16:00
取締役会のための資料作成。役員たちにあれこれ注文つけられつつ、意見の違う役員の間で右往左往。
16:00~17:00
弁護士とzoomで会議。クレーマー対応について。
17:00~18:00
経理と印紙税に関する打合せ。税金に関する仕事は行政から監査が入ることもたびたびあり、準備におわれています。
18:00~19:00
翌日のコンプライアンス研修会の資料作成。研修の講師の仕事も、最近ではオンラインで行われるようになりました。
上記の通り、法務部門の仕事は多岐にわたります。
机の上で資料を作成したり、調べものする時間よりも、事業部門の相談にのったり、偉い人の間を調整したり…
ほとんど愚痴を聞くだけの時間があったり。
私はママ業があるので19時には会社を出るようにしていますが、帰宅後も法律に関する書籍を読むなどしないと、ついていけません。
企業法務に内定がもらえるのはこんな人
企業法務向きの人物像→法律知識よりコミュニケーション能力
一昔前は、「職人」「専門家」というイメージがあった法務部員ですが、単なる専門家であれば外部にアウトソースすればいい、というのが現代の定説。
企業内で法務部門を担当するには、コミュニケーション能力が高そうな人が重宝されます。
私も普段はめちゃくちゃ人見知りで、インドアな根暗人間ですが、仕事のときは「ビジネス」と割り切ってコミュニケーション能力高そう感を演出しています。
「相談しやすい人」でないと、法務として生き残っていけません。
保有しておくべき資格
大学生の間に取得すべきなのはビジネス実務法務検定2級です。
余裕があれば、宅建士にも挑戦してください。不動産契約は割とどこの会社でもチェックする機会が多く、不動産関連は通常の民法の知識だけでは到底足りないなと痛感しています。
私は就職してから宅建を取得しましたが、働きながら勉強するのは大変でした…!
学生の時に勉強するべきこと
英語、英語、英語!!!!
特に大手企業の法務部はTOEIC800点台がごろごろいます。
法律知識に加え英語力は必須です。
(自戒の意味も込めて…本当学生のうちに頑張っておけばよかった…)
【裏ワザ!】企業が法務人材を探すときは、新卒採用とは別のルートを使っている
企業法務の人材募集は「リクナビ」「マイナビ」には載っていない!?
ほとんどの学生さんはリクナビやマイナビを使って就活をされているかもしれませんが、企業の人事部は、「法務人材」がほしいとき、新卒を採用することを想定していません。
「人は欲しいけど、募集は公開していない」というケースがほとんどでしょう。
採用担当は、「法務人材が欲しい」ときは、専用の会社に発注します。
エージェントを利用して、周りとちがう就活をしよう
企業側の立場としても、登録者数の多い、リクナビやマイナビで一括応募してくる大量の学生の中から、優秀な法務人材を見つけ出すのは至難の業。
新卒とはいえ、スペシャリストを見つけ出すときは、以下のような採用活動を行います。
マンツーマンで転職活動を支援するコンサルティングサービス【ゲキサポ】
エージェントが、個別に企業にアプローチしてくれるサービスです。面接指導や書類チェックをしてくれるのも心強いですね。
法務人材特化型の求人サイトは、「法務人材がほしい」会社に営業をかけ、情報を集めています。つまり、学生側も、専門サイトを使ったほうが、企業のニーズにマッチしやすくなります。
転職をメインにした求人ですが、新卒でも能力があれば面接してくれます。
まわりが使っていない求人サイトに登録することで、「狭き門」である企業法務の仕事をゲットできる可能性はぐっと高まります。
専門エージェントは孤独な就活の強い味方
私が新卒のときはこういうサービスがなかったので、今の学生さんは本当に恵まれているなあと感じるのが、「専門エージェント」サービス。
履歴書の採点や面接指導、マンツーマンでアドバイスしてくれます。
孤独で先の見えない就職活動の大きな支えになってくれることでしょう。
企業法務で新卒採用されたい・まとめ
というわけで本日のまとめです。
・企業法務の新卒枠、狭き門だがニーズはある
・就職後の仕事のイメージをしっかり持って、自分ができることをアピールしよう
・専用サイトを活用して、周りとは違う就活ルートを開拓しよう
みなさんの就職活動が実りの多いものになるようお祈りしています!
就活で有利になる資格取得についてもまとめているので参考にしてください